三條窄路(狭き門から入れ)

廖啓智(リウ・カイチー)、蒋祖曼(ジョーマン・チョン)、王亦藍(ウォン・イックラム)、張穎康(ジョナサン・チョン)、黄毓民(ウォン・ヨクマン)、何華超(トニー・ホー)、黄伊汶(エマ・ウォン)、蘇廸輝 崔允信(ヴィンセント・チョイ):監督 2008年

在香港時の2008年に観ている(三條窄路 - 香港電影迷宮blog)ので2度目。かなりあちこち忘れていたので、見返せて良かった。今見ても色々重要な問題が詰まっている。

2021.12.30@ユーロライブ(香港映画2021)

夜香、鴛鴦、深水埗(夜の香り)

《出城記》《玩具故事》《鴛鴦》《It's not gonna be fun》4つの短編。監督は梁銘佳。

《出城記》

梁卓美、Mia Mungil

インドネシア人の家政婦と認知症を患っているらしい女性のある日。息子からは外出を禁止されているらしい女性は、今日はセントラルで同郷人の集まりがあるので出かけたいというが、家政婦はなかなかうんと言わない。しかし外出を口外しないと約束させて外出するが、女性は約束を忘れていまう。家政婦は機転を利かせ循環ミニバスで自宅に戻ってくる。何度も繰り返される息子の話とそれを聞きながら嫌がりもせず、相槌を打つ家政婦。これからもずっとこうやって続いていくんだろうと思う。

玩具故事

顧定軒、林耀聲

母親がやっていた玩具屋が人手に渡ることになり、兄弟は束の間玩具屋であれやこれや話をする。兄弟の性格も違いや、生き方の違いが分かっていく。弟くん、出来るなら玩具屋続けてほしいな。

鴛鴦

王宗堯、Kate Reilly

It's not gonna be fun

林倩同

2021.12.30@ユーロライブ(香港映画祭2021)

怒火(レイジング・ファイア)

甄子丹(ドニー・イェン)、謝霆鋒(ニコラス・ツェ)、秦嵐(チン・ラン)、譚耀文(パトリック・タム)、黄徳斌(ケニー・ウォン)、呉浩康(ディープ・ン)、何珮瑜(ジーナ・ホー)、楊天宇(アンガス・ヨン)、湯君慈(ブルース・トン)、麥亨利(プリンス・マック)、喻亢(ユー・カン)、張文傑(ジャーマン・チョン)、胡子彤(トニー・ウー)、郭政鴻(デレク・コック)、郭鋒(サミエル・コック)、呂良偉(レイ・ロイ)、任達華(サイモン・ヤム)、袁富華(ベン・ユエン)、林國斌(ベン・ラム)、盧恵光(ロウ・ワイコン)、陳家樂(カルロス・チャン) 陳木勝(ベニー・チャン):監督 2021年

正義感に溢れ、曲がったことは許せない刑事・張崇邦(甄子丹)は、上司の袁家寶(譚耀文)に半ば騙されて警察上層部のお茶会に呼ばれ、ある事件に手心を加えてくれと頼まれるが、キッパリ断った。しかしそれが原因で、かねてより追いかけていた国際的麻薬密売組織摘発に参加できなくなる。張崇邦らを残して姚若成(呂良偉)らが麻薬取引の現場に向かったが、そこでは予期せぬ出来事が起こっており、覆面をした者たちが警察官を襲い、さらに麻薬を横取りしていったのだった。やっとの思いで現場に到着した張崇邦は、ただただその惨状を目の当たりにするだけだった。そして犯人を追ううち、張崇邦はそれがかつての同僚で、ある事件がきっけかで警察を追われた邱剛敖(謝霆鋒)ら元刑事たちの犯行であることに気がつくのだった。。

陳木勝の遺作。始まりからアクションはマックス。曲がったことが嫌いな甄子丹は、これまで彼が演じた役からも容易に想像できるキャラクター。しかし時にわざとらしい顔つきになってしまったり怒りの前の”ため”がはっきりわかり、物語のためのアクションが、アクションのための物語になることがあった。しかし今回それが少ないのは、やはり監督・陳木勝ゆえか。

さらに特に良いのが悪役の謝霆鋒だ。ウエーブした髪が顔にかかり傷が見える顔つきからいいし、顔全体をはっきり見せないことで、怒りに満ちた表現もわざとらしさを避けて凄みが感じられる。以前は気になっていたちょっと鼻にかかるような声も今回はほとんど感じられず、声にも凄みがある。すでに40歳になっている謝霆鋒、しばらく見ないうちにさらに上手くなっていた。アクションもダブルを使ったかどうか不明だが、甄子丹相手に引けを取らない。

2021.12.28@kino cinéma 立川髙島屋SC館

好好拍電影(我が心の香港~映画監督アン・ホイ)

許鞍華、賈樟柯、蕭芳芳、劉徳華侯孝賢、林嘉欣、田壮壮、徐克、張艾嘉、劉天蘭、施南生、李屏賓 文念中(マン・リムチョン):監督 2020年

香港を代表する映画監督のひとり許鞍華(アン・ホイ)を追ったドキュメンタリー。

許鞍華は1947年、中国人の父と日本人の母のもと中国・遼寧鞍山で生まれ、5歳の時に香港に移住。香港大学卒業後1972〜74年にLondon Film Schoolで映画を学び、1975年香港に戻り胡金銓(キン・フー)の元で副導演などを努めた後、TVBに入りテレビドラマを監督。ICAC(活動紹介のため独自に映像制作部門を持っている)、香港電台(ラジオ局だが映像制作部門を持っており、ドキュメンタリーなどの番組を制作している)を経て、1979年に”龍虎山雙屍案”と呼ばれている1970年に起こった事件をもとにした映画《瘋劫》を監督。以降、社会派ドラマ、ホラー、コメディ、ラブストリーなど幅広いジャンルの作品を撮っている。

この映画では、高齢の母との2人暮らしの日常から、撮影現場における厳しい姿、香港への思いなどを映し出している。

許鞍華は好きな監督の一人で、TVB、香港電台、ICAC時代の作品も含めかなりの数を見ている。長い時間にわたってコンスタントに作品を作り出す原動力は一体どこにあるんだろうといつも思っているが、この映画からその一端を垣間見ることができる。そして最後には彼女の香港への想いに涙が出てしまった。

2021.11.09@K's Cinema

智齒(リンボ)

林家棟(ラム・ガートン)、劉雅瑟(リウ・ヤースー)、李淳(メイソン・リー)、池內博之、沈震軒(サミー・サム)、廖子妤(フィッシュ・リウ) 鄭保瑞(ソイ・チェン):監督 2021年

警察学校を卒後したばかりの新米刑事の任凱(李淳)が担当になったのは、片手が切断された女性の変死体事件だった。相棒はいささか強引な捜査をしているように見受けられるベテラン刑事の斬哥(林家棟)。捜査の途中で斬哥は王桃(劉雅瑟)という少女を見つけ執拗に追いかけ回し、必要以上に痛めつけている。斬哥と王桃はどういう関係なのか。そして変死体事件との関係は?そして犯人は?

2021.11.02@よみうりホール(東京国際映画祭

ホワイト・ビルディング(White Building)

ニアン・カヴィッチ:監督 2021年

プノンペンの集合住宅「ホワイト・ビルディング」は老朽化し建物の取り壊しが近づいている。ダンスが趣味の3人の若者のうち1人は、親戚のいるフランスに移民するという。1人の父親はホワイト・ビルディングの住人代表をしているが、住人の意見がまとまらず苦慮している。さらには足の指の傷が悪化している。

以前に観た同じ監督の「昨夜、あなたが微笑んでいた」の方がよりホワイト・ビルディングに寄り添っていたように思う。ただ、カンボジアの若者の行動や、医者を信用しない元彫刻家の父親の姿など、興味深い。

2021.11.01@朝日ホール(東京フィルメックス