怒火(レイジング・ファイア)

甄子丹(ドニー・イェン)、謝霆鋒(ニコラス・ツェ)、秦嵐(チン・ラン)、譚耀文(パトリック・タム)、黄徳斌(ケニー・ウォン)、呉浩康(ディープ・ン)、何珮瑜(ジーナ・ホー)、楊天宇(アンガス・ヨン)、湯君慈(ブルース・トン)、麥亨利(プリンス・マック)、喻亢(ユー・カン)、張文傑(ジャーマン・チョン)、胡子彤(トニー・ウー)、郭政鴻(デレク・コック)、郭鋒(サミエル・コック)、呂良偉(レイ・ロイ)、任達華(サイモン・ヤム)、袁富華(ベン・ユエン)、林國斌(ベン・ラム)、盧恵光(ロウ・ワイコン)、陳家樂(カルロス・チャン) 陳木勝(ベニー・チャン):監督 2021年

正義感に溢れ、曲がったことは許せない刑事・張崇邦(甄子丹)は、上司の袁家寶(譚耀文)に半ば騙されて警察上層部のお茶会に呼ばれ、ある事件に手心を加えてくれと頼まれるが、キッパリ断った。しかしそれが原因で、かねてより追いかけていた国際的麻薬密売組織摘発に参加できなくなる。張崇邦らを残して姚若成(呂良偉)らが麻薬取引の現場に向かったが、そこでは予期せぬ出来事が起こっており、覆面をした者たちが警察官を襲い、さらに麻薬を横取りしていったのだった。やっとの思いで現場に到着した張崇邦は、ただただその惨状を目の当たりにするだけだった。そして犯人を追ううち、張崇邦はそれがかつての同僚で、ある事件がきっけかで警察を追われた邱剛敖(謝霆鋒)ら元刑事たちの犯行であることに気がつくのだった。。

陳木勝の遺作。始まりからアクションはマックス。曲がったことが嫌いな甄子丹は、これまで彼が演じた役からも容易に想像できるキャラクター。しかし時にわざとらしい顔つきになってしまったり怒りの前の”ため”がはっきりわかり、物語のためのアクションが、アクションのための物語になることがあった。しかし今回それが少ないのは、やはり監督・陳木勝ゆえか。

さらに特に良いのが悪役の謝霆鋒だ。ウエーブした髪が顔にかかり傷が見える顔つきからいいし、顔全体をはっきり見せないことで、怒りに満ちた表現もわざとらしさを避けて凄みが感じられる。以前は気になっていたちょっと鼻にかかるような声も今回はほとんど感じられず、声にも凄みがある。すでに40歳になっている謝霆鋒、しばらく見ないうちにさらに上手くなっていた。アクションもダブルを使ったかどうか不明だが、甄子丹相手に引けを取らない。

2021.12.28@kino cinéma 立川髙島屋SC館