張艾嘉、任達華、蔡思韵、周漢寧 曾憲寧:監督 2022年
ネオン看板職人だった亡夫の願いを叶えようとする妻と若い弟子の姿を母と娘の確執を絡めて描く。
道に飛び出している看板は近年政府の政策で次々と取り壊されている。特にネオンで色どられた看板は香港風景の一部といっていいものだが、政府は容赦なく壊している。映画には、なくなりつつある香港風景への思いが込められている。
最近の香港映画は身の回りにあるが、これまで見過ごされていた題材を取り上げる事が多い。この映画も同じで、これまでアクションシーンでネオン看板を登る事はあっても、看板そのものについては誰も映画で取り上げてこなかった。
ネオン看板は失われていくものの象徴なのだが、夫への思い(妻)、自分の存在意義(弟子)、母への理解と和解(娘)の象徴でもあり、看板こそがこの映画の主役といっていいだろう。
最後にはみんなの思いが集結し美しいネオン看板が出来上がる。ただ長くは飾っておけない。形は失われても心は失われることはない。そんな思いも込められているだろう。
2022.10.25@丸の内TOEI(東京国際映画祭)