白日青春

黄秋生、林諾、周國賢、潘文星 劉國瑞:監督 2022年

タクシー運転手の陳白日(黄秋生)は、警察官の息子・陳康(周國賢)の結婚式に急ぎ車を運転していたが、前を塞ぐバンに腹をたてて、歩道を走ったために動き出したバンと接触事故を起こしてしまう。バンを運転していたのは、パキスタン難民の男だった。無免許だった男となんとか示談を取り付けたように思えたが、元弁護士の男は宗旨替えをしてしまう。追いかけた白日と男の車は衝突事故を起こし、音は死亡してしまう。男には息子・ハッサン(林諾)がいた。ハッサンはカナダへの移住を夢見ているが、父の言うことは聞かず次第に悪い仲間に近づき、盗みをするようになっていた。白日は、ソーシャルワーカーのフリをしてハッサンと母の様子を伺うようになった。

親子(父と息子)の物語。親子であったも、話をしなければ言葉で伝えなければ考えも愛情も伝わらない。実の息子にしてやれなかった事をハッサンにしてやろうとする、いやしなければならないと考える白日の思いに康が気づくことで、この親子は救われるような気がする。ハッサンの未来は全くの未知だが、白日が泳いで香港へやってきたように逞しく生きて行けるのではと思いたい。

香港の難民を描いた映画で記憶にあるのはベトナム難民を描いた周潤發(チョウ・ユンファ)主演、許鞍華(アン・ホイ)監督の《胡越的故事》(獣たちの熱い夜 ある帰還兵の記録)ぐらい。この映画もまた香港の隠れた一部を描いた作品だった。

2023.03.17@ABCホール(大阪アジアン映画祭)